TOEIC高得点でも英語が話せない人がいるのはなぜ?

TOEIC の高得点取得者であっても、人には言えない悩みをかかえている人が多い。それは英語が思うように話せないことだ。なぜ英語の実力者が英語が話せないのだろうか?それには明確な理由がある。
執筆:ドクター・キノシタ


英語の実力を測るテストとしてTOEIC が普及している。TOEIC の点数が高ければ就職に有利だし、社内の立場も良くなる。900点以上取れば英語の実力に太鼓判を押されたことになる。しかし TOEIC の高得点取得者であっても、人には言えない悩みを抱えている人が多い。それは英語が思うように話せないことだ。なぜ英語の実力者が英語が話せないのだろうか?それには明確な理由がある。TOEICは英語の総合力を計るテストではないからだ。TOEFL でも英検でも同じことが言える。

ことばの2つの能力

ことばには、受動的能力と能動的能力の2種類がある。受動的能力には「読む」と「聞く」がある。能動的能力には「書く」と「話す」がある。会話に限って言えば、「聞く」が受動的能力で、「話す」が能動的能力となる。

受動的能力(聞く)と能動的能力(話す)を担当する脳の違い

受動的能力と能動的能力を担当する脳の部分は異なる。例えば、交通事故等で脳に損傷を受けた場合、受動的能力を担当する脳の部分が損傷すると、自分では話すこが出来るのに、人が話すことばは理解できなくなる。逆に能動的能力を担当する脳の部分が損傷すると、人が話すことばはわかるのに、自分からことばを発することが出来なくなる。

0才~9才の子供は、無意識的にしかもいとも簡単に2つの能力を同時に発達させ、「聞く能力」と「話す能力」を短期間に身に付けることが出来る。

しかし特殊な環境に育った子供は、受動的能力が担当することばと、能動的能力が担当することばが異なるケースがある。たとえばチェコからアメリカに逃れて来た難民に子供が生まれた場合、親は子供にチェコで話すので、子供はチェコ語を100% 理解できるようになる。すなわちチェコ語に関しては受動的能力(聞く力)は問題ない。しかしその子供は英語漬けの生活なので、英語が母国語になり、チェコ語で話す親に対して英語で返答する。もし親が子供にチェコ語を話させる努力を怠った場合、子供のチェコ語に関する能動的能力(話す力)はゼロになってしまう。アメリカに住む日系2世にもこのようなケースが多い。この現象は、「聞く」のと「話す」のでは使われる脳の部分が異なることを示している。

又小さな子供でない限り、「聞くだけで突然話せるようになる」ことはあり得ない。実際、英語圏に住んでいる多くの日本人が、英語がうまく話せなくて困っている。

受動的能力(聞く)と能動的能力(話す)の具体的違いと英語実力テスト

受動的能力とは、他人が作った英語を聞いてその意味を理解できるかどうかの能力である。一方、能動的能力とは、自ら瞬時に英作してそれを音声化する能力を意味する。2つは全く異なり、使われる脳の部分も違うので、どちらの学びも重要となる。英会話を熱心に学んでいても、「受動的能力」の学習だけに陥るケースが非常に多いので要注意。「英語を話す」すなわち「思っていることを瞬時に英作し音声化するには、英語を構成している175要素を脳裏に刻み込むことが大切で、YouCanSpeak はその能力を身につけていただくために開発された。

英語の実力テスト(TOEIC、TOEFL、英検、入試、校内テスト等)は、全て受動的能力(読む力・聞く力)を計るテストで、能動的能力は対象外となる。その結果能動的能力に乏しくても、これらのテストで高得点を取ることは出来る。

能動的能力を計るテストはほとんど存在しない。何千人、何万人が同時に受験することは不可能で、ひとりづつ実行しなければならず、膨大な時間と費用がかかるのがその理由だ。その結果、英語学習者は「テストで良い結果を出すこと」すなわち受動的能力の学びだけに集中する結果となり、「高得点でも話せない」という悪循環に陥る。

能動的能力に的を絞った教材 YouCanSpeak

どんなに短くて易しそうな英語でも、必要な場面で的確に口から出て来なければ、通常のテストの成績がどうあれスピーキング力が低いということになる。又言いたい英語をじっくり考えてからでないと表現出来ない場合も、会話力は無いに等しい。それとは逆に、頭に浮かぶ概念を瞬時に英作し音声化することができれば、スピーキング力が高いことになる。YouCanSpeak は文章の「名詞化」「副詞化」の練習と同時に、他の文章の名詞あるいは副詞に代入する訓練を制限時間を設けて進めて行くシステムなので、早い段階から文章の長短に関係なく瞬時に音声化できるようになる。この練習を繰り返すことにより、応用力も身に付くので、「会話苦手人間」から「会話得意人間」に変身することが出来る。

英語圏に住んでいても能動的能力の学習環境が整っているとは言えないので、会話力が伸びずに悩んでいる人が多い。そんな時助けとなるのが YouCanSpeak で、学習者の30%近くが、海外に住んでいる日本人だ。TOEIC 900~950点を取得した多くの方々、あるいは英検1級取得者の多くが YouCanSpeak に挑戦している。

この記事の監修・執筆者
英語スピーキング教材YouCanSpeak、英語リスニング教材YouCanListen開発者
同時両方向通訳者/ 同時通訳セミナー講師。文学博士。NHK ラジオ・TV「Dr. Kinoshitaのおもしろ英語塾」教授等、各メディアで活躍
YouCanSpeakをSNSでフォローして最新情報をお手元に!